CEPT T/R 61-02和訳HTML版
勧告 T/R 61-02
統一アマチュア無線試験証明書
採択 於チェスター 1990,改正 於ヴィリニュス 2004
付録2 改正 2015年1月
付録4 改正 2016年6月
付録6 改正 2016年2月
序文
1990年に採択された本勧告は,CEPTの主管庁による『統一アマチュア無線試験証明書(HAREC)』の発行を可能とするものである.
HARECの書面は,「HARECのための試験要目に合致するアマチュア無線の試験の合格に成功したことの証明」を示している.
それは,CEPT勧告T/R 61-01で述べられているのよりも長い期間,ある国に滞在するアマチュア無線家への,個人の免許の発行を容易化する.
それはまた,外国の主管庁が発行したHARECを示すことで,母国へ戻ったアマチュア無線家への個人の免許を容易化する.
1994年に改正された本勧告は,非CEPT諸国の本システムへの参加が可能となるよう目指すものである.
この改正は勧告T/R 61-01の非CEPT諸国への拡大に相当するものである.
2001年の改正は,モールス符号の信号の送受の要件を,毎分12語から毎分5語に引き下げた.
2003年の改正は,モールス符号の信号の送受の要件を取り去った.
『統一アマチュア無線試験証明書』に関する2004年2月勧告TR 61-02 (T/R 61-02)
欧州郵便電気通信主管庁会議は,
a) アマチュア業務はITUの無線通信規則の第1節に従う業務であり,ITUの無線通信規則および各国の規則により管理されること;
b) アマチュア局を運用しようとするいかなる者の運用面および技術面の技能の確認において,
主管庁はITUの無線通信規則の第25節に従い責任を伴うこと;
c) 既存の各国の規定および免許条件の著しい相違が,免許されたアマチュア無線家による母国外での無線通信の活動を妨げていること;
d) 国際事情としては,国際アマチュア無線連合が,アマチュア業務についての試験の程度の統一化の考え方について支持していること;
e) CEPT勧告 T/R 61-01は,CEPTおよび非CEPT諸国におけるアマチュア局の一時的な使用のみに関するものであること;
f) CEPT諸国および非CEPT諸国は,市民による非商用かつ娯楽活動に関する規定および内容の整合についても相互に模索していること;
を考慮し,
a) 「住み始めた他国でアマチュア局を用いたいアマチュア無線家」のための共通の取り決めの確立が,著しく望ましいこと;
b) 種々のCEPT諸国および非CEPT諸国に広がっている,多岐に亘るアマチュア無線の免許および試験にもかかわらず,共通の扱い方を見い出しうること;
c) この共通性を踏まえて,アマチュア無線の免許および試験の,「各国のどの級が似通った質なのか」を特定できること;
d) さまざまな各国の免許のCEPT免許への当てはめは,「最低限の試験の基準」の点でいくつかの困難を引き起こしたが,一般には,勧告 T/R 61-01の導入により,よい実績が得られてきたこと;
e) 本勧告による手順に関わらず,「諸外国の主管庁の発行するアマチュア無線家の証明」の承認に際しては,主管庁は,別の二国間合意を求める権利を有すること;
に注意し,
1. CEPTの主管庁は,相互に承認された『統一アマチュア無線試験証明書』を,CEPT試験標準(付録1参照)に相当する各国の試験に合格した者に発行すること;
2. 本勧告の条件を受け入れる,CEPTに非加入の主管庁は,付録3および付録4に定められる条件に従うことで,参加を申し込むことができること;
3. 本システムに参加している主管庁は,本システムに参加している主管庁が発行する『統一アマチュア無線試験証明書』を有し,かつ,3か月よりも長い期間その国に滞在する外国籍の者に対し,各国の法および規則を条件として,CEPT試験標準に合致する各国の免許の発行に合意すること;
4. いかなる国において『統一アマチュア無線試験証明書』を得たいかなる者も,その者の母国に戻るに際し,別途試験に合格することなく免許を得る権利を有すること;
5. 主管庁は,付録2および付録4(CEPT試験レベルに相当する免許の級)に示される情報を,各国の法規が改められたときには最新に維持するよう保証しなければならないこと
を勧告する.
注:
本および他のECC勧告の実施の最新の状態については,事務局文書データベース(http://www.ecodocdb.dk)を確認願う.
付録1:『統一アマチュア無線試験証明書(HAREC)』の発行条件
1.a HARECは,CEPTの主管庁によって,後出の項2に示される基準に合致するアマチュア無線の各国の試験に合格した者に発行される.(それらの試験に対応する各国の免許は付録2に示される.)
1.b HARECは,非CEPTの主管庁によって,後出の項2に示される基準に合致するアマチュア無線の各国の試験に合格した者に発行される.(それらの試験に対応する各国の免許は付録4に示される.)
1.c HARECは,要求に応じ,CEPTの主管庁によって,統一試験要目の導入の前にそれに該当する各国の試験に合格していたアマチュア無線家に発行される.
1.d HARECに基づく免許は,アマチュア業務およびアマチュア衛星業務に割り当てられ,「アマチュア局が運用できる」とその国の中で認められた,全周波数帯の使用を認める.
1.e HARECに相当する各国の免許,および,主管庁が他国からのHARECの所持者に発行する免許は,付録2および付録4に示される.
2. 各国の試験のための基準
受験者に「HAREC証明書相当」との資格を与える各国の試験は,アマチュア無線家が「アマチュア局およびその運用」について試験の遂行中に向かい合うであろう題目を対象としなければならない.
それらは最低でも技術,運用および規則についての内容を含まなければならない(試験要目0を参照).
3. HAREC文書
『統一アマチュア無線試験証明書』は,少なくとも次の情報を英語,フランス語,ドイツ語にくわえ発行国の言語によって含まなければならない:
a) 所持者が本勧告に述べられている必要条件に合致する試験に合格した主旨の記述
b) 所持者の氏名および生年月日
c) 発行日
d) 発行官署
必要な情報は,各国の証明書,または,付録5で示されるとおりの特別な文書に含めうる.
付録2: CEPT試験のレベルに相当する各国の免許の級
項目を改正したい国は,その意味の文書を,ECC委員長へ,事務局への写しとともに,送らなければならない.
表1:CEPT諸国
CEPT諸国 | HARECに相当する各国の免許 | 主管庁が他国からのHAREC所持者に発行する免許 |
---|---|---|
1 | 2 | 3 |
Albania | CEPT | CEPT |
Austria | 1 (old also 2) | 1 |
Belgium | A | A |
Belarus | A, B | A1 , B |
Bulgaria | Class 1 | Class 1 |
Croatia | A | A |
Cyprus | Radioamateur Authorisation | Radioamateur Authorisation |
Czech Republic | A | A |
Denmark | A | A |
Faroe islands | A | A |
Greenland | A | A |
Estonia | A, B | A2, B |
Finland | Y and T | Y |
France | HAREC, class1 and class 23 | HAREC, class1 and class 23 |
Germany | 1, 2 and A | A |
Greece | 1 | 1 |
Hungary | CEPT; old RB, RC, UB, UC | CEPT |
Iceland | G | G |
Ireland | CEPT 1 & CEPT 2 | CEPT 12 & CEPT 2 |
Italy | A | A |
Latvia | A | A |
Lithuania | A4 | A |
Luxembourg | CEPT | CEPT |
Macedonia (FYROM) | A | A |
Malta | A and B | A and B |
Moldova | A and B | A and B |
Monaco | Class 1 | Class 1 |
Montenegro | A and N | A and N |
Netherlands | F | F |
Norway | A | A |
Poland | 1 | 1 |
Portugal | 1, A5 and B | 1 |
Romania | I and II | I |
Russian Federation | 1, 2 | 11, 2 |
Serbia | 1 | 1 |
Slovak Republic | E (old A, B, C) | E |
Slovenia | A (old 1, 2, 3) | A |
Spain | CEPT | CEPT |
Sweden | 1 | 1 |
Switzerland | 1, 2, CEPT | CEPT |
Turkey | B | B |
United Kingdom | Full | Full (Reciprocal) |
1. モールス符号の能力(毎分最低60字)の確証が必要
2. モールス符号の能力(毎分最低5語)の確証が必要
3. フランスでは,2012年4月23日から,一つの免許の級"HAREC"しかない.古い免許の級の「1」および「2」の所持者は,それらの級による権利および個人の呼出符号を保持する.
4. 2005年12月2日通信規則局長令1V-1070号で採択された「アマチュア無線活動への従事の権利およびアマチュア無線活動の許可の手続き」(2005年Valstybes Zinios官報,144-5273号).
5. モールス符号の能力(毎分最低50字)の確証が必要
付録3:非CEPT主管庁の本勧告に基づくCEPTアマチュア無線証明への参加
1. 申請
1.1. CEPTに加盟していない主管庁は,本勧告で規定される『統一アマチュア無線試験証明』に関するCEPTの協定に参加を申し込める.
申請書は,コペンハーゲンのCEPT欧州委員会事務局(ECO)に送られなければならない(住所:Nyropsgade 37,DK-1602 コペンハーゲン,デンマーク).
申請の裏付けに必要な情報として,以下を含むこと:対象国の証明の級の一覧;それらの権利およびCEPT試験レベルへの同等性.
各国の試験の要目,または,各国の証明の級での必要条件,ならびに,それらの権利を表した詳細が,申請書に同封されていること.
上述のすべての詳細は,CEPTの公式言語の一つで提出されなければならない(英語,フランス語またはドイツ語).
2. 申請の手順
2.1 CEPT ECCは,各国の免許の級のHARECのレベルへの同等性を判断するため,および,本勧告からのいかなる逸脱についての受容性を評価するために,それぞれの申請を本勧告に基づいて確認する.
2.2 ECCは,非CEPT国の参加の受け入れに合意した場合は,加える主管庁に通知し,該当の詳細を付録4に含むべくECOに手配する.
2.3 非CEPT主管庁との本勧告の適用にあたって,「別の二か国間の合意」を必要とするCEPTの主管庁は,それを付録2の脚注に示す.
2.4 CEPT主管庁との本勧告の適用にあたって,「別の二か国間の合意」を必要とする非CEPTの主管庁は,それを付録4の脚注に示す.
付録4:非CEPT諸国の各国の級とHARECの間の対照表
表2:非CEPT諸国
国 | HARECに相当する各国の免許 | 主管庁が他国からのHAREC所持者に発行する免許 |
---|---|---|
1 | 2 | 3 |
Australia | AOCP(A)6 | AOCP(A) |
Curacao | A, B, C | C |
Hong Kong | Amateur Station Licence | Amateur Station Licence |
Israel | A, B | B (General) |
Japan7 | First Class Radio Amateur Operator Licence | First Class Radio Amateur Operator Licence |
New Zealand | General amateur operator’s certificate | General amateur operator’s certificate |
South Africa8 | Restricted and Unrestricted licences | Unrestricted licence |
6. 既得のオーストラリアの証明書AOCPおよびAOLCPも,HAREC相当として認められる.
7. 本勧告の項4にかかわらず,本システムに参加する国でHARECを得た日本人は,日本で,日本のアマチュア無線従事者免許を,「試験への合格なく得ること」ができないかもしれない.
8.モールス符号の技能の必要条件は,2004年に,いくつかの評価に置き換えられた.
主管庁はその必要条件の改正処置中であり,2010年中には反映される.
付録5:CEPT勧告T/R 61-02に基づく『統一アマチュア無線試験証明書(HAREC)』
[同フランス語]
[同ドイツ語]
1. ___国において,発行する主管庁または発行に際し責任を持つ主管庁___は,本証明書の所持者は,国際電気通信連合(ITU)によって定められた必要条件を満たすアマチュア無線の試験の合格に成功したことを,これにより示す.
合格した試験は,CEPT勧告 T/R 61-02(HAREC)に示される試験に合致するものである.
2. [同フランス語]
3. [同ドイツ語]
4. 所持者名 [同フランス語] [同ドイツ語]
___
生年月日 [同フランス語] [同ドイツ語]
___
5. 本証明書に関する情報を要求する官吏は,その照会を,以下に示される発行国の当局または発行主管庁に宛てなければならない.
[同フランス語]
[同ドイツ語]
住所/[同フランス語]/[同ドイツ語]
___
電話/[同フランス語]/[同ドイツ語]
___
テレファックス/[同フランス語]/[同ドイツ語]
___
署名/[同フランス語]/[同ドイツ語] 公印/[同フランス語]/[同ドイツ語]
付録6:試験要目およびHARECの要求条件
[割愛]
この記事へのコメント
JARL国際問題検討委員会の皆さんに、こちらのブログ記事を紹介させていただきました。
遅ればせながら、JARL役員の皆さんに、ブログ記事を紹介させて頂きます。