WRC-23速報:1200MHz帯,決着

続報が出ました.12/8の全体会合で公式に採択.

(1)『WRC-23 – 23cm recommendation approved』
https://rsgb.org/main/blog/news/gb2rs/headlines/2023/12/08/23cm-recommendation-approved-at-wrc-23/

(2)『WRC-23 Reaches Acceptable Conclusion on 23 cm Issue』
https://www.iaru.org/recommendation-on-ai-9-1b-approved-at-wrc-23/

未詳ですが,周波数割当計画の「脚注」に,「RNSSへの干渉が生じた場合における,主管庁へのガイダンス」を含めることで決着.

「周波数割当計画そのものの改正」や「M.2164の参照」ではなく,「脚注」に追い落とした点が勝利――という見立てです.



WRC-23 ― 23cmの勧告採択

[以下は(1)の全訳です.アヤシイところは原語版 ↑ でご確認ください.[]は訳者補.]

WRC-23世界無線通信会議の第3週では,議題9.1-bの下での1240~1300MHzの23cmアマチュアバンドについての新しい脚注の採択をみた.
これは,Galileoなどの無線航法衛星業務(RNSS)への干渉の回避のためのガイダンスを示す,最近発行されたITU-R勧告[M.]2164に注目している.

このことは,WRC-19後から始まった4年間の努力の末の 大きなランドマークであり,それがいま,ガイダンスと次の段階にむけての基礎となった.

IARUのTim Ellam会長(VE6SH)は,「RNSSへの干渉が生じた場合における主管庁へのガイダンス を提供する脚注の追加は,アマチュアやこの帯域の一次利用者にとって,良い規制上の成果である」と述べた.
このストーリーの詳細はオンラインで読むことができる.[それが(2).]

IARUチームは,「将来の会議における議題の作成」を含む,WRCのほかの問題についても引き続き取り組んでいる.
RSGBの特別フォーカス ページでは,定期的な更新と追加の詳細を提供する.



WRC-23は23cm問題で受諾しうる結論に達する

[以下は,(2)の抄訳です...(1)で触れられていない重要箇所のみ.]

 :

脚注は,主管庁やアマチュアに,優先されるべきRNSSを干渉から保護する必要性を意識させ,スペクトルのこの部分で両方の業務の運用の継続を許するためのガイダンスを主管庁に提供する.
この妥協案は12月8日の全体会合で正式に採択され,WRCの最終週においては,もう検討の対象にはならない.

 :

この議題項目に関してWRC-23でなされた決定は,分配表に変更を加えるものでもなく,また,参照によりM.2164を無線規則に組み込むものでもない.

 :



想像

現状,『周波数割当計画』の「1240-1300MHz」部分の記述(国際分配)は,以下のようになっています〔電波利用ホームページ〕.
Reg. I~III共通です.
「下線」は二次業務です.

ここに,追加の脚注として「RNSSへの干渉が生じた場合における,主管庁へのガイダンス」が追加されるのでしょう.
「その脚注の中で,M.2164――“特小化”勧告――に言及されるのか?」は,未詳です.

地球探査衛星(能動)
無線標定

無線航行衛星(宇宙から地球)
5.328B 5.329 5.329A

無線航行衛星(宇宙から宇宙)
5.328B 5.329 5.329A

宇宙研究(能動)

アマチュア
5.282 5.330 5.331 5.332 5.335 5.335A


以下,アマチュアむけの脚注です.
読みやすいように適宜改行しています.
5.282

 435-438MHz、1260-1270MHz、2400-2450MHz、3400-3410MHz(第二地域及び第三地域に限る。)及び5650-5670MHzの周波数帯においては、アマチュア衛星業務は、分配表(無線通信規則第5.43号参照)に従って運用する他の業務に有害な混信を生じさせないことを条件として、使用することができる。
この使用を許可する主管庁は、アマチュア衛星業務の局の発射によって生ずるいかなる有害な混信も無線通信規則第25.11号の規定に従って直ちに除去することを確保する。
アマチュア衛星業務による1260-1270MHz及び5650-5670MHzの周波数帯の使用は、地球から宇宙への方向に限る。

https://www.tele.soumu.go.jp/wari/WarikyakServlet?KYAK=5.282

5.330

 付加分配:アンゴラ、サウジアラビア、バーレーン、バングラデシュ、カメルーン、中華人民共和国、ジブチ、エジプト、アラブ首長国連邦、エリトリア、エチオピア、ガイアナ、インド、インドネシア、イラン、イラク、イスラエル、日本、ヨルダン、クウェート、ネパール、オマーン、パキスタン、フィリピン、カタール、シリア、ソマリア、スーダン、南スーダン、チャド、トーゴ及びイエメンでは、1215-1300MHzの周波数帯は、一次的基礎で固定業務及び移動業務にも分配する。

https://www.tele.soumu.go.jp/wari/WarikyakServlet?KYAK=5.330

5.331
   
 付加分配:アルジェリア、ドイツ、サウジアラビア、オーストラリア、オーストリア、バーレーン、ベルギー、ベニン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中華人民共和国、大韓民国、クロアチア、デンマーク、エジプト、アラブ首長国連邦、エストニア、ロシア、フィンランド、フランス、ガーナ、ギリシャ、ギニア、赤道ギニア、ハンガリー、インド、インドネシア、イラン、イラク、アイルランド、イスラエル、ヨルダン、ケニア、クウェート、レソト、ラトビア、レバノン、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、北マケドニア、マダガスカル、マリ、モーリタニア、モンテネグロ、ナイジェリア、ノルウェー、オマーン、パキスタン、オランダ、ポーランド、ポルトガル、カタール、シリア、朝鮮民主主義人民共和国、スロバキア、英国、セルビア、スロベニア、ソマリア、スーダン、南スーダン、スリランカ、南アフリカ共和国、スウェーデン、スイス、タイ、トーゴ、トルコ、ベネズエラ及びベトナムでは、1215-1300MHzの周波数帯は、一次的基礎で無線航行業務にも分配する。
カナダ及びアメリカ合衆国では、1240-1300MHzの周波数帯は、一次的基礎で無線航行業務にも分配し、また、無線航行業務での使用は航空無線航行業務に限る。

https://www.tele.soumu.go.jp/wari/WarikyakServlet?KYAK=5.331

5.332
   
 1215-1260MHzの周波数帯では、地球探査衛星業務及び宇宙研究業務の能動宇宙検知器は、無線標定業務、無線航行衛星業務及びその他の一次的基礎で分配された業務に有害な混信を生じさせ、これらの業務からの保護を要求し、また、これらの業務の運用又は発達に制限を課してはならない。

https://www.tele.soumu.go.jp/wari/WarikyakServlet?KYAK=5.332

5.335
   
 カナダ及びアメリカ合衆国では、1240-1300MHzの周波数帯において、地球探査衛星業務及び宇宙研究業務の能動宇宙検知器は、航空無線航行業務に混信を生じさせ、この業務からの保護を要求し、また、この業務の運用又は発達に制限を課してはならない。

https://www.tele.soumu.go.jp/wari/WarikyakServlet?KYAK=5.335

5.335A
   
 1260-1300MHzの周波数帯では、地球探査衛星業務及び宇宙研究業務の能動宇宙検知器は、無線標定業務及び脚注により一次的基礎で分配されたその他の業務に対して有害な混信を生じさせ、これらの業務からの保護を要求し、また、これらの業務の運用又は発達に制限を課してはならない。

https://www.tele.soumu.go.jp/wari/WarikyakServlet?KYAK=5.335A

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